1. DamViewerで表示している4つの基本指標
DamViewerでは、国土交通省の「川の防災情報」テレメータシステムから集約された各ダムの観測データを定期的に自動同期・可視化しています。画面上に並ぶ数値の意味を理解することで、身近な河川の危険度や水資源の逼迫度を把握することができます。
貯水位(EL. m)
ダム湖の水面の高さを東京湾平均海面(標高)基準で示した数値です。ダムには季節ごとに定められた「制限水位(夏期に洪水をためるための低水位)」や「常時満水位(非洪水期に利水のためにためてよい最高水位)」が存在します。
有効貯水率(%)
ダムが利用できる有効容量(総貯水量から土砂堆積を見込んだ堆砂容量を除いた分)に対して、現在どれだけ水がたまっているかの割合です。100%に近づくほど満水、40%未満になると給水制限が視野に入る警戒域となります。
全流入量(m³/s)
上流の降雨によって1秒間にダム湖へ流れ込んでくる水の総量(毎秒立方メートル)です。大雨時にはこの数値が急激に跳ね上がります。
全放流量(m³/s)
ダムのゲートや発電用放水路から下流河川へ放流している水量です。流入量と放流量の差がプラス(流入>放流)であればダム湖に水をためて下流の氾濫を防いでいる(洪水調節中)状態を示します。
2. 豪雨・台風時の「洪水調節」と「緊急放流」のメカニズム
ダムの最大の使命のひとつが、台風や前線に伴う集中豪雨から下流域の市街地を守る「洪水調節」です。
洪水調節の基本的なステップ:
- 洪水前の事前放流: 大雨が予測される場合、ダムの水位をあらかじめ下げて空き容量(ポケット)を確保します。
- ピークカット(流入量 > 放流量): 最も雨が強い時間帯、上流から毎秒1,000m³の水が流れ込んでも、下流へは毎秒200m³程度に抑えて放流し、差分の800m³をダム湖にため込みます。これにより下流河川の堤防決壊や氾濫を防ぎます。
- 異常洪水時防災操作(緊急放流 / ただし書き放流): ダム湖の容量限界(サーチャージ水位)に達した場合、ダム自体の決壊を防ぐため、流入した水と同等の量をそのまま下流へ流す操作へ切り替わります。この段階に入ると下流河川の水位が一気に上昇するため、自治体からの避難情報に直結します。
3. 渇水警戒:貯水率40%以下で何が起きるのか?
DamViewerのトップ画面や一覧画面で赤色バッジ表示される「渇水警戒(貯水率40%未満)」は、農業用水・工業用水・家庭用上水道の供給に支障が出始める重要な基準点です。
ステップ1:自主節水の呼びかけ(貯水率50〜40%)
降雨の少ない状態が長引くと、各自治体や水系利水調整協議会により、市民への節水呼びかけや公共施設の減圧給水が始まります。
ステップ2:取水制限の開始(貯水率40%未満)
河川やダムからの取水量自体を「10%カット」「20%カット」する取水制限が発令されます。まず農業用水や工業用水が対象となり、状況に応じて上水道の夜間断水や減圧給水へと移行します。
ステップ3:死水容量の活用(貯水率0%近傍)
「貯水率0%」はダムが完全に空っぽになったわけではなく、通常の運用では使えない最底部の水(死水容量)を残した状態を指します。極度の渇水時にはポンプ船を浮かべてこの死水容量を緊急汲み上げする作業が行われます。
4. DamViewerの正しい活用法と免責
DamViewerは、公的オープンデータを地理的・視覚的に一括俯瞰できるよう設計された研究・学習・防災啓発用のプラットフォームです。
ご注意: 表示される数値はテレメータによる速報値であり、機器点検や通信環境による欠測が含まれる場合があります。大雨時の避難行動にあたっては、必ず国土交通省の公式発表や各自治体の発令する避難指示を最優先でご確認ください。